話題のQBハウスが上場決定!キュービーネットホールディングスの成長性は? | SALON SEA

話題のQBハウスが上場決定!キュービーネットホールディングスの成長性は?

★シェアする★

先日、今話題のQBハウスの親会社であるキュービーネットホールディングスが上場することが決まりました。現時点(2018年2月20日)では東証一部か二部か決定していませんが、想定発行価格(1株式会社2,250円)で計算した時価総額は270億円に達するとのことで、美容業界にとっては大きなニュースです。果たしてQBハウスは、上場後も成長を続けることができるのでしょうか?QBハウスのビジネスモデルから成長性について考えてみましょう。

QBハウスとは

QBハウスは当時の美容室としては異色の「ヘアカット専門店」として業績を伸ばしている美容室チェーンで、「10分カット」「1000円カット」という新しい概念を業界に広げたパイオニアです。

“10分の身だしなみ”を叶えるヘアカット専門店

『へアカットだけでいいのでは?』と、QBハウスが世の中に提案した新しい価値基準。「手軽にリーズナブルにヘアカットだけをしてくれるお店があったら、自分の時間とお金をもっと有効に使える!」というアイデアから、1996年、QBハウスは「ヘアカット専門店」として、神田美土代店からスタートしました。お客様が本当に求めているヘアカットサービスをどこよりも早く、安く、ご提供できるようにカット以外のプロセスの簡略化と、スタイリストが無駄なく、効率的にお客様にサービスを提供できるように、ヨットのキャビンを参考に店舗内の各設備を設計、あらゆる無駄を省く工夫を重ねてきました。
出典:キュービーネットホールディングス(http://www.qbnet.jp/brand/)

QBハウスのビジネスモデル

美容室経営においてベンチマークすべき指標として「坪当たり売上」と「パーヘッド売上」が挙げられます。前者は1坪あたりの売上高、後者はスタッフ一人あたりの売上高です。

美容室のスペースも一人当たりのスタッフが施術できる顧客数も限られていますので、この2つの指標をどこまで高められるかが美容室経営の本質といっても過言ではありません。

QBハウスは、1000円という圧倒的な価格競争力による集客で常に店舗への来客を確保し、ヘアカット専門店という特異な業態と10分カットで回転率を最大化するというビジネスモデルを作り上げました。これにより、限られたスペースでのスタッフ一人当たりの生産性を最大化することに成功したといえるのではないでしょうか。

<QBハウスのビジネスモデルのポイント>

  • ヘアカット専門店という業態
  • 1000円カット
  • 10分カット
  • 特異な出店戦略

ヘアカット専門店という業態

一般的な美容室は10坪でセット面2~3面、シャンプー台1~2台といわれています。美容室の売上は施術客数×客単価であらわされますが、QBハウスはシャンプー台をなくすことでセット面を増やし、施術客数を大幅に伸ばすことに成功しています。シャンプー台がないことで、トリートメント、カラーリングなど客単価を高めるためのメニューは施術できなくなりますが、それを逆手にとって1000円カットという低価格路線を打ち出しているところにビジネスモデルの妙があります。

1000円カット

少し古いデータですが、2012年に日本政策金融公庫が実施した「美容店に関する消費者意識と経営実態調査」によると、美容室の1回あたりの費用は平均で5,300円(男性が3,950円ほど、女性が6,150円)ほどになっています。QBハウスの1,000円という金額が相当安いということがわかります。カットだけで1万円近くとりながら集客に成功しているブランド店もありますが、高い技術とスタイリストのブランド力が必要になるため店舗を拡大していくのに限界ができてしまいます。QBハウスは1,000円という安さと社内教育による安定した技術で価格競争力という圧倒的な武器をもとに集客と店舗拡大に成功しています。

10分カット

ご自身が美容室を利用するときのことを考えていただくとわかりやすいかもしれませんが、カットとシャンプーだけでも40分から1時間近くかかる場合が多いのではないでしょうか。これにカラーやパーマを考えると2時間から長い場合4時間ほどかかる場合もあります。

先ほどの美容室への平均費用である5,300円が仮に1時間半という時間で施術されているとする場合、10分あたりの単価は600円弱となります。

QBハウスの1,000円という単価だけを見ると通常の美容室に比べて割が悪そうな印象を持ちますが、10分カットというシステムを構築したことで1.5倍近くの生産性を実現することに成功しています。

特異な出店戦略

QBハウスは出店戦略にも特徴があります。一般的な美容室が、青山や表参道などの土地のブランドや競合店の数、駅からの距離など様々な指標を軸にに出店を検討するのに比べ、QBハウスの出店戦略は明快です。基本的に駅中かショッピングセンターの中に店舗があるのです。駅やショッピングセンターは1日当たりの利用者数が明確に測れ、人通りを確保できるという利点があります。シャンプーを行わないことで配管設備工事などが必要ないことや10分という短時間での施術というQBハウスならではの特徴が出店戦略にも活かされています。

QBハウスの今後の成長のカギは求人にある!?

ビジネスモデルとして完成されているように思えるQBハウスですが死角はないのでしょうか?しいて死角としてあげるとすると、求人があるかもしれません。

業界の根本的な課題として人手不足があります。美容室が全国に24万店舗あるのに対して、美容師が50万人弱しかいないという圧倒的な人手不足の状態なのです。どれだけ好調に業績を伸ばしていても働いてくれるスタッフがいなければ店舗を拡大することはできません。QBハウスは1000円カットという打ち出してビジネスとして成功しましたが、求人においては1000円カットのブランディングが裏目に出ることも多くあることが予想されます。芸能人やモデルのカットを手掛ける有名スタイリストなど憧れの美容師像のある意味対極にあるのが1000円カットだからです。そんな逆風に対して、QBハウスでは2つの施策をとっているようです。

最短6か月でカットスタイリストになれる充実した研修制度

実は50万人の現役の美容師がいる一方で、美容師免許をもちながら現場に出ていない休眠美容師が全国に70万人ほどいるといわれています。QBハウスでは、「LogiThcut」という独自のスタイリスト育成制度を整えていて、こういった層の確保に動いているようです。

LogiThcut PROFESSIONAL STYLIST SCHOOL(通称:ロジスカット)は、専門学校を卒業したばかりの方はもちろん、カット経験がない方、業界ブランクのある方もカット技術・接客技術ともにスキルアップできるQBハウス独自のスタイリスト育成プログラムです。
スタイリストとして採用決定後、経験・能力に応じてこのロジスカットを受講します。
基礎的なカットトレーニングに始まり、スタイルごとのヘアカット技術、接客技術など、朝から晩まで1日中みっちり学び、6ヶ月で研修を卒業。7ヶ月目には一人前のスタイリストとして店舗デビューを叶える実践的なカリキュラムです。また、研修終了後も再度トレーニングできるフォローアップ研修を用意しています。
スタイリストとして給与支給されつつ、6ヶ月間研修だけに専念できる画期的な育成制度です。
出典:QBハウス採用HP(http://www.qbhouse.co.jp/logithcut/)

1000円カットではない、新しいコンセプトのサロン

FaSSというブランドで新しいコンセプトのカットサロンを展開しているようです。中年男性という今までのターゲット層から20~40代の男女を狙ったサロンとなっっています。求人の側面から見ても、今までカットだけの1000円カットからスタイリングも行うというFaSSのコンセプトが転職先を探す美容師にとってもプラスになりそうです。

「ファス」は、既存の「QBハウス」のコンセプトである“お手軽さ(リーズナブル・予約不要)”はあくまでもそのままに、『Fast Salon for Slow Life』という新しいコンセプトのもと、20~40代の男女をメインターゲットにしたサロン。店舗内装はインテリア家具などを扱うIDEEが手がけ、「やさしい家」をテーマに温もりの感じられる空間となっています。
カット&スタイリングのメインメニューを中心に、「前髪だけカット」「スタイリングだけ」など、ニーズに合わせたメニューも取り揃えています。
出典:キュービーネットホールディングス(http://www.qbnet.jp/brand/)

結局QBハウス(キュービーネットホールディングス)は成長するのか?

今回の記事で見たようにQBハウスは、ビジネスモデル的に非常に優秀であるということが言えます。求人など課題もありますが、まだまだ伸びる余地はあると思います。

懸念点としては、「11Cut」や「美容室iwasaki」など競合店舗の存在です。格安美容室の市場はこれからも間違いなく存在し続けると思いますので、その中で競合に勝っていくことができれば、成長を続けることができるのではないでしょうか。


たった10分であなたの「適正年収」がわかる!
美容師の年収診断は下記LINE@より!プチキャリア相談も♪
美容師スコア診断する

★シェアする★