独立してお店も軌道に乗ったので新しくスタイリストを採用したい。突然オーナーから求人担当に任命された。など、理由は様々かもしれませんが、いざ美容師を採用しようと思っても何から始めたらいいのかわからないという方は多いのではないでしょうか。実は、美容師の採用は急に採用したいと思ってすぐに採用できるほど簡単ではありません。オーバーストア化が叫ばれて久しい美容室業界では顧客の獲得と並んでスタッフの採用こそが経営の成功を決めるといっても過言ではありません。
今回は、採用コンサルタントへのインタビューをもとに、初めて美容師採用を実施されるオーナー、担当者の方に向けたアドバイスをまとめました。
美容師採用の流れ
新卒採用なのか中途採用なのかによって多少フローに違いはありますが、下記の流れに沿って採用活動を進めていくのが一般的です。各ステップを見ていきましょう。
- 採用計画の策定
- 母集団形成
- 面接・選考
- フォロー
- 入社決定
採用計画の策定
採用計画の策定では、何人のスタッフを取りたいのか、どのようなスキル・経験を持ったスタッフを雇いたいのかといった採用要件の決定といつまでに、どれくらいの予算をかけてといったスケジューリングと予算設定があります。
まずは、収支分析、出店計画、スタッフの離職率などサロンの経営・運営状況からどのようなスペックを持った美容師を何人とることが必要なのかを試算します。
人数と人材要件が決まったら、いつまでにスタッフが必要なのか、どれくらいの予算をかけることができるのか、かけなければならないのかを試算します。
特に予算策定について、できるだけ低コストで採用することは重要なのですが、採用できない状況が続くことによって採用できていれば本来稼ぐことができた売り上げを逃してしまう機会損失が発生することもありますので、あらかじめ収益予想に基づいて採用コストを設定し、スケジュール通りに採用することが大切です。
母集団形成
採用計画が決まったら、いよいよ求人の募集を始めます。
採用の用語で、求職者に対して告知して応募を獲得することを「母集団形成」といいます。応募者=母集団を確保することが美容師採用のステップで一番難しい部分になります。
母集団形成の主な手法については別の記事で詳しく説明しますが、採用計画で立てた「人数」、「人材要件」、「スケジュール」、「予算」のどれを優先するかによって手法を選択したり、組み合わせたりすることが重要です。
美容室に対して美容師は2.1人しかいない(美容室数:23.7万店舗、美容師数:49.7万人)という”超売り手市場”の中で、採用計画を達成するためには母集団形成が重要というのはご理解いただけるでしょう。多くの応募者を集めることができれば、その中から優秀なスタイリストを選んで採用することが可能ですし、応募者を集めることができなければ条件やサロンにマッチしない美容師を採用せざるを得なくなり、結果としてミスマッチによる早期離職ということにもなりかねません。
面接・選考
母集団を獲得できたら「面接・選考」のステップに入ります。
面接・選考というとサロン側が一方的に応募者を選定するという風にとらえる方もいるかもしれませんが、それでは採用はうまくいきません。面接・選考のステップで必要なのは「見極め」と「動機形成」です。
見極めでは、その応募者の人柄やスキルがサロンの求める水準に達しているかを判断します。見極めだけで終わってしまうことが採用がうまくいかない理由の一つになります。サロンにマッチングするかどうかの見極めは重要な一方で、面接官の方が見極めるのに一生懸命になるがあまり下手をすると高圧的になってしまうことも起こりがちです。
ここで必要な考え方が「動機形成」です。サロンにマッチする人柄、スキルを判断できたら即座に動機形成のための口説きに入ることが面接における成功の秘訣です。応募者はあなたのサロンだけではなく他のサロンへも応募している場合が多くあります。面接や選考は応募者を選定するのと同時に応募者に自分のサロンがどれだけ素晴らしいかをアピールする機会でもあるのです。面接官の方の対応の仕方や、技術チェックでの他のスタッフのふるまい、店舗の清潔さなど、応募者もサロンを選定していることを忘れてはいけません。裏を返すと、面接で応募者を口説いて好印象を残すことができれば、他サロンへ流れる前に入社を決定してもらえるチャンスになります。
フォロー
面接が終わり応募者に内定を出すことが決まったら、フォローに入ります。
応募者はこの段階ではまだあなたのサロンへの入社を最終的に決めてはいません。本当にあなたのサロンへ入社してもいいのか、他のサロンをもっと見るべきじゃないかと不安や迷いを抱えています。この不安や迷いを解消することで、入社まで円滑に進めることができます。
フォローのポイントは、内定の連絡は直接、少なくとも電話で時間をとって伝えることです。面接の直後にすぐに内定を伝える場合もあるかもしれませんが、その場合もあっさりと内定を出して終わりにするのではなく、疑問点や不安点などを解消するために時間をかけて内定を伝えることが大切です。
できれば、他のスタッフの方と話してもらうなど担当の方以外ともコミュニケーションが取れる機会を与えてあげるとフォロー効果が高いです。なぜ応募者を採用したのか、採用理由を伝えてあげることも大切です。
美容師採用のポイント:まとめ
今回は美容師の採用にあたっての流れを一から見ていきました。採用計画の段階である程度全体の流れを意識して計画を立てることでスムーズに進めることができると思います。また、採用計画や母集団形成については一朝一夕ではうまくいかない場合も多いと思いますので、別の記事で詳しくそのノウハウをまとめていきたいと思います。